花鳥風月はひふへほ

埼玉県在住ニートの日記みいななにか。

好敵手オンリーワン 読みました

どうもにっしーです。

 

 

小説「好敵手オンリーワン」(著 至道流星)を読了しました。

 

講談社ラノベ文庫から出ているライトノベルです。あ、好敵手はライバルと読ませているようです。

※本記事にはネタバレに該当する部分があります。

 

 

あらすじ:美少女幼馴染二人が、主人公を賭けてそれぞれの家の資金をどれだけ増やせるか対決をします。二人は教会の娘と神社の娘です。ちなみに全員が高校生です。

ま、早い話が経営小説という感じでしょうか。

 

 

感想:お話のテンポは良かったかなあと思います。ヒロイン二人も私には魅力的に映りました。

ただ、以下の2点が引っ掛かりました。

ひとつ目:主人公の性格や能力がよく分からない

ふたつ目:警察の行動が理解出来ない

 

 まず、ひとつ目です。主人公は幼馴染二人と比べて勉強や運動等々、多くの能力が劣っている描写が幾つかあります(これは幼馴染二人が凄まじくハイスペックなせいです)。また、全体平均と比べても、主人公の作中で明確に描かれている人並み以上のスキルは、料理スキルくらいです。

 それなのに、街中でナイフを持って襲ってきたストーカー男を素手でボコボコにして、さらには幼馴染が倒せなかったヤクザさんたちも竹刀でボコボコにします(小学校の頃に剣道を習っていたという設定がありますが、一年間のみであまり気合を入れずにやっていたそうです。幼馴染も同じくやっており事件時も竹刀を所持していました)。一体、いつこんなに強くなったのでしょうか…。

 また、後半になるとピンチになる幼馴染たちを引っ張って経営を立て直しさせ、勝利へと導きます。いつ経営のエキスパートになれたのでしょうか…(経営の勉強をする期間はありますが、数日間だけです)。

 あと、才能とは関係ありませんが、幼馴染二人の事業を読者に紹介する役目を背負うゆえか、主人公の考えることが解説的な感じで、人間味が足りない気もしました。

 総じて、主人公の能力や性格が見えづらいと思いました。冒頭の方から密かに経営の勉強をしていたりすれば、また違ったかもしれません。

 

 次にふたつ目です。この作品の世界(一応、現実世界と同等の世界)の警察はやる気があるのかとても不安になります。前述したナイフで男が襲ってくる場面では、男も主人公もストーカーのターゲットにされた幼馴染も全員が警察のお世話になります。街中でナイフを振り回して主人公たちを襲い、本来は第三者の立場であった主人公に軽傷とはいえけがを負わせたからには、どう考えても重大事件です。普通に傷害罪ですし、下手すれば殺人未遂罪にもなりかねません。それなのに、警察署で幼馴染が男を許すと宣言すると、何故か警察も男をその場で許します。いつから、それらの犯罪は親告罪になったのでしょうか…(もちろん示談等を成立させてそれをもとに起訴取り下げをお願いすることはあるでしょうが、どんな形であれ一朝一夕では済まないでしょう)。

 また、主人公と幼馴染がヤクザといざこざを起こした時も警察はやってきますが、あっさりと引き下がります。ヤクザさんが幼馴染の家に乗り込んでくる→幼馴染の母が通報して警察が来る→実は幼馴染(と主人公)がヤクザ事務所にカチコミして暴れまわったことへの弁償を求めに来ていただけだった→警察は出番終了、となります。が、現実にそんなあっさりと警察は退場しないはずです。ヤクザと未成年者が事務所で乱闘したというなら、上を下への大騒ぎです。学校へも当然連絡がいくと思いますし、一部始終を警察はしっかりと調べようとするはずです。何度でも言いますが、そもそも、傷害罪も殺人未遂罪も非親告罪です。

  未成年者という存在は、少年法で保護され、また保護者もいるので、警察の目は甘くなりがち…ということはないかと思います。少年の保護を目的とする少年法は、犯罪行為を行った人物に対して保護するためなら、普通の刑法よりも強い処置を取ることも可能です。また、保護者が保護責任を果たしていない考えられる場合も、警察や福祉当局の介入は十二分に考えられます。本作のヤクザとのいざこざにおいても、警察はそうした面まで考慮してくるはずです。

  

 

 本作は、経営とヒロインに注目して読むなら良し、それ以外を気にする方にはお勧めできない…という感じでしょうか。話のテンポや展開で突っ掛かることはあまりないかなあと思います。

 

 

 

ではまた。